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別冊メンタルヘルス講座:主な精神疾患の名称と概念

2005年08月15日

(1)統合失調症(精神分裂病)および気分障害(うつ病、躁うつ病)については当HP内「メンタルヘルス講座」をお読みください。


(2)神経症(いわゆるノイローゼ):種々の不安障害。恐怖症、パニック障害、心気症を含みます。
恐怖症:特定の対象(人ごみ、閉所、高い場所、先鋭物など)を必要以上に強く恐れ、その対象物のそばでは不安が著しくなり、正常な判断力が働かなくなる状態です。

パニック障害:恐怖症と合併することも多い。パニック症状(強烈な不安、過呼吸、動悸、自分が狂ったり、死んでしまうのではないかという恐怖感)を抱きます。

心気症:自分は重大な病気(癌、エイズなど)ではないかと思い込み、些細な身体症状にも過敏になります。内科等を受診し検査を受けて異常なしといわれてもそれを信じられず、医者を転々とする人が多い。
 上述のような神経症圏のものは心理的問題であり、薬物は不安や不眠を軽減するための補助的役割でしかありません。ただしパニック障害に対しては、SSRIやSNRI(新タイプの抗うつ薬。後述)が有効な場合もあります。


(3)発達障害:精神遅滞(いわゆる知恵遅れ)、自閉症、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、アスペルガー障害


(4)身体疾患に伴う精神症状:脳、ホルモン・代謝系、感染症、栄養障害等

脳→頭部外傷後や脳腫瘍など。
ホルモン・代謝系→甲状腺ホルモンの多寡による躁状態・うつ状態など。
感染症→ウイルス脳炎、梅毒スピロヘータによる脳炎(神経梅毒)など。
ビタミンB群の不足による痴呆、精神病様症状など。
治療:原病(精神症状の原因になっている身体疾患)への治療を行ないます。補助的に睡眠薬や精神安定剤を使うこともあります。


(5)化学物質の影響による精神障害:アルコール、麻薬、覚醒剤
 どれも精神病様症状を起こし得ます。

(6)意識障害:外傷、身体疾患、化学物質等、多くのものが原因となりえます。
(7)認知症(痴呆症):アルツハイマー型、脳血管型(脳出血、脳梗塞後)
(8)てんかん:多くは先天性。薬の服用で発作を抑えます。


(9)人格障害:特に境界型人格障害について
 この20年ほどで、アメリカや日本を含む、都市化され物質的には豊かな社会で急増している人格障害で、特に若い世代に多くなってきています。
 これらの人々は慢性的な空虚感や寂しさを持ち、それを感じないですむよう、他人(異性、友人、セラピスト等)に依存します。
 当初は相手を非常に理想化しますが、それ故に「もっと、もっと」と相手に愛情や世話を要求し、あまりにも過大になって相手が逃げ腰になると「見捨てられた」「人間なんて信じられない」と感じ、相手のことを「最低」と思います。このように、誰に対しても評価が極端でな点が特徴です。
 感情の動揺は激しく、手首を切るなどの自傷行為をしばしば伴います。リストカットの代わりに過食をしたり、性行為に走ったりすることもあります。しかしやはり1人では安心感を持てないため、すぐに次の対象を求め、同じことを繰り返しがち。
 「友人関係や恋愛関係が続かない、同じ職場で安定して働けない」といった対人関係維持の困難やリストカット・薬のまとめのみ等の自傷行為の繰り返しが、生活歴の中で聴取されることが多い。


(10)その他:摂食障害、性障害/性同一性障害、適応障害

摂食障害
 神経性無食欲症/大食症ともいわれ、不食型と過食嘔吐型があります。客観的には痩せているにも関わらず、自分は肥満していると思い込み(自己イメージの歪み)、極端な摂食制限をして体重を落とそうとします。ある時点で空腹に耐えられなくなると反動で無茶食いをします、太る恐怖から自発的に嘔吐したり、下剤や浣腸、利尿剤を乱用するようになることも多い。
 やせが高度で生命の危機に至る場合があり、このような例では入院させ強制的に栄養を摂らせざるを得ませんが、治療の基本は精神療法です。

性障害/性同一性障害
 性の対象やその程度が、一般の人と異なる場合。本人またはパートナーが苦しみ、来院しない限り、治療の対象にはなりません。

適応障害
 学校や職場の対人関係や仕事内容に、本人が適応できなくて悩む場合。精神療法が基本となります。

書いた人 浜野ゆり : 2005年08月15日 21:52

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