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負け犬症候群脱出法
2005年07月06日
最近話題の本『負け犬の遠吠え』(酒井順子、講談社)を読んだ。この人は「身近な人同士では結構言っているが、公の場では皆が口をつぐむ」ようなことをよく本にする。何年か前に出た、現代日本の少子化問題に関してのエッセイ『少子』では帯に「痛いので、産みません」とあり、苦笑したものだが、今回も新聞広告に「どんなに美人でも、仕事ができても、30代以上、未婚、子ナシは『負け犬』です」という衝撃性の強いコピーで、目を引いた。
露悪的なタイトルの割には本の序章ではソフトな語りで、本文に上手に導入している。しかし各章を読んでいくうちにやはり、こういった本の読後感に共通の、いやーな気分になった。
1991年に出た『お見合いの達人』(真島久美子、講談社)をはじめ、1990年代にはよく、30代女性によるこの手のエッセイが盛んに書かれた。曰く「仕事もできるし、性格も真面目で一生懸命だし、顔もファッションも平均値以上。仕事も友人も、ある程度の経済力も手に入れた。なのに恋愛・結婚だけは人並みにできない。出会いがないし、つき合っても結婚に至らない。結婚情報会社に入ってお見合いしたり出会い系パーティに出ても、これまでつき合ってきた来た以下のレベルの男性しか現れない。がんばってきた私になぜ、こんな男性?」という論調である。
この手の本が罪作りなのは、事例研究などは詳細に載っていても「では根本的理由は何か、対策はどうすれば良いか」が書かれていない点にある。「結婚に求めるものがはっきりしていない」「父親像が、恋人選びを左右する」「いや母親との強すぎる絆が問題である」等々が書かれていることもあるが、私から見ればどれも断片的で、枝葉の部分である。そして結局は「他の全ては努力で手に入れられても、男性だけは、相手のあることなのでなぜか上手くいかないことがある。だから本当に結婚したくなったら、恥ずかしがらずに周囲の人に見合いを頼んだり、結婚情報会社に入会してばんばん異性に会おう。かなり非常識な男性も多いが、まあ自分の分を知り、そこそこの人で手を打とう」というものである。
原因がわからない、結果も芳しくない、でもこれが現実さ、という文脈は人をめげさせる。古典的には『クロワッサン症候群』などもその最たるものである(この本では著者は、女性誌が独身キャリアウーマンの生き方をやたら持ち上げたせいだという、非現実的な理由を挙げていたが)。
だが後に知ったことだが、実際にはこうした女性たちが不本意にもそういう生き方をしているのには理由があるし、また理由がはっきりしているからには対策もある。従って「自分が求める理想の相手と理想の結婚生活を送る」というのも、本気で取り組めば充分可能なのである。ただそれを系統的に書いた本はこれまでほとんど見当たらなかった。前述『お見合いの達人』で著者は(私とは切り口は違うが)自らの体験から彼女なりの結論を導き出し、そのお陰でちゃんと希望の人と結婚に至っている(この手の本では珍しい)。
『負け犬の遠吠え』では「負け犬」たちの大量発生の原因も、それへの対策も書いているが、これはある種のパロディとして読むべきであり、真実とは異なる。
このところ願望実現法の本が大量に出版されているが、極端なスピリチュアリズムに走らず、かといってばむしゃらに「異性との出会いを求めて、そういう場所にひたすら出かける、積極的に話しかける」といった表面的な行動ばかりこなすのではなく、「まず自分の準備状態を整え相手を引きつける」ことが必要であり、行動化はその後なのである。でないと、買いたいものを定めずにふらふらとデパートに出かけた時のように、たまたま目に入った、良さそうなものに次々と目を奪われ、しかもどれも帯に短したすきに長しだったと気づく、ということになってしまうだろう。
(2004年)
※「ソウルメイトを引きつける」ワークは、「ストレス緩和ルーム」にて習得できます。ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。・・・2005年8月追記
書いた人 浜野ゆり : 2005年07月06日 17:57
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